定例ミーティング

第14回ミーティング報告書 2015年9月22日

日本人のマナー

 ASEAN-NAGOYA CLUBの第十四回目です。本日は荻巣先生、島津先生ともに、海外ご出張です。留学生も6名が帰国中です。今日のテーマは、日本人のマナー。日本の文化は独特で、世界の人から分かりにくいという声がありますが、留学生のみなさんは、逆に、日本のマナーを身に付けたいと考えておられます。マナーの話しは非常に裾野が広く、深く、1回ではとても理解できませんが、今日は、留学生が戸惑う日本人のマナーについて触れてみます。
 「日本人は相手の目を見て話さない」という質問が挙がりました。現在は、相手の目を見て話すのは基本ですから、そのような質問に違和感を感じる日本人も多いと思います。しかし、平成初期、昭和の時代を振り返れば、心当たりがある人が多いのではないでしょうか。
 日本人OBから日本社会の背景について説明がなされました。武士道です。武士道では目上の人からお話しがあっても、顔を見ないという作法がありました。目を見て身分の高い人とお話しすることは、大変無礼なこととされました。江戸時代の身分制度は、話しの仕方のついても、作法がありました。殿様から家臣(部下)に言い伝えるとき、お目見えといい、殿様の顔を見ていい人と、いけない人の階級に分かれていました。顔を見ていい人でも、首から下しか見ない。顔は見ない。通訳がいて伝えるのが基本でした。100年ちょっと前の話です。そんなに遠い昔の話ではないのです。こうした文化伝統が、日本人の所作に影響してきたことでしょう。海外では目をそらして話すのは、怪しいという印象をもたれますが、昔の日本では、目を見て話しをすることが、怪しいという印象につながったということです。
 次に、「日本人との会話の中で、聞いてはいけないことがあるように思います」。それは、どのようなことですかという質問がありました。留学生には、聞いてよいことと、いけないことを区別するのは、とても難しいことであるに違いありません。
 日本人は、プライベートなことをあまり聞きません。例えば、同じ会社の中でも、給料はいくらかというのは、お互いに聞きません。お金の話をする人は、評価されない歴史があります。江戸時代の士農工商という身分制度にも明らかなように、お金にかかわる身分は、最も卑しいものとされてきました。明治、大正、昭和初期に生まれた人たちには、こうした気風が色濃く残り、「お金の話は、品格がない」とされてきました。次に、日本人は、「結婚しましたか、子どもがいますか。何歳ですか」などと、相手方の近況を聞くことをしません。日本人は、こういうことを聞きません。日本人は、自分の事を語りません。日本人は、公のこと、全体のことを中心として生きている人が多い、というのがその理由です。東日本大震災で辛い目に遭った人が、誰かに会うときは、笑顔を絶やさず、自らの悲しい出来事を、表に出さないというのもそうした傾向だといえます。
 留学生にはわかりづらい日本文化です。聞かなければ分からない日本人のマナーは、たくさんあります。そうした中で、デパート出身のOBから、貴重なお話しをお聞きすることができました。日本人のマナーを理解する上で、デパート文化はとてもよい例となります。デパートには、江戸時代から脈々と続く文化があります。まず、お客様は、すごく大切で、偉い人であるという認識があります。極端に言えば、「足をふまれても、ありがとうございます」という姿です。デパートにおいて、マナーを学ぶことは仕事でもあります。入社すれば、何もせずに、ひたすら先輩の姿を見て、真似て、学ぶ。昔は、これを1年、2年かけて見習いをしたそうです。日本のマナーを学ぼうと思えば、デパートで見習いをするのが相応しいのです。女性がお嫁入り前に、デパートで行儀見習いをすれば、お嫁に行く資格が十分に備わるというものでした。お花の稽古、料理、お茶、生け花、着物を縫う。ありとあらゆる行儀作法を身につけることができたそうです。
 デパートには、5大接客用語があるそうです。「いらっしゃいませ」。「ありがとうございます」。「恐れ入りますが」。「申し訳ございません」。「またお越し下さいませ」この5つを毎朝、45度、30度、15度というお辞儀の角度を伴い、何度も何度も唱和していくのだそうです。こうしたトレーニングで、「スマイル、スピード(お客さんはもたもたしているのを一番いやがるといわれます)、最後にsincerity(真心を込める)」という3つの理念を実現していくことになります。これらの全体が「日本のおもてなし」となるのです。ここでは、詳しく触れませんが、隠語があります。お客様に失礼にならないように、多くの隠語を駆使した社内のコミュニケーションは、芸術的とさえいわれるものです。このおもてなしの極致に、日本人OBも感動しました。
 今日は、カンボジア留学生、スレイデンさんの卒業です。スレイデンさんの卒業のために、仲良しのチワワのゴマちゃんがかけつけてくれました。日本をこよなく愛するスレイデンさんは、きっと、またいつの日にか日本に戻ってくることでしょう。

  参加者:
<日本人メンバー>
小里氏、西氏、鈴木氏、大黒氏、春名氏、箕浦氏、山村氏、松久氏(コーディネーター)、田中氏(スタッフ)
<留学生メンバー>Mr.Indra Kesuma Nasution、Mr.Lim Lyhong、Mr.Chheourn KuyEng 、Ms.Sreyden Vong、Mr. Nguyen Huu Phuc、Ms. Trang Thu Tran
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