真のパートナーシップへ

人口減少社会が加速していく日本にあって企業の海外進出は不可欠なものとなりつつあります。戦後、私たちは無から有を生じせしめたと言ってよい奇跡的な経済発展を遂げました。日本流の年功序列、一億総中流階級、ものづくり、誠心誠意など日本経済の原動力を表す言葉は数多くあります。この間、世界は冷戦構造から、BRICS及び新興国の台頭という時代となりました。世界第二位から第三位への地位の変化も生じました。しかし世界情勢は常に流動的であり、ランキングは不透明といったほうがよいでしょう。ただ、グローバリゼーションの進展はとどまるところを知りません。スコットランドなどのように世界にはグローバリゼーションと逆回転する現象も見られますが、経済的には地球はますますその結びつきを強めています。情報の一元化と価値観の共有が大きな柱となって動いていることは間違いないようです。
日本はこうした世界の流動的な動きに対して硬直的な面があるのは否めません。それは単一民族、単一言語という特殊な世界で生きてきたことと深く関係しています。日本品質が世界で優れているのは、同じものさしで国民が努力できることにあるでしょう。私たちに出来ることは他国の人もできる、できてしかるべきという考えに陥りがちです。海外進出するときにはこの考えに基づき、現地を技術指導したり、教育を行うことがあります。しかし、私たちのものさしが現地の人々に必ず好意をもって受け入れられるという保証はありません。高品質を実現するためには日本流を身につけてもらわなければならない。現地流に動けば品質が保証されないことが多いかもしれない。品質維持と価値観、この狭間で葛藤している現地日本人は少なくありません。相互の理解を深め、進出国の人々との間で判断を決着しないまま、方針を押し切るという姿には壁があるかもしれません。
私たちはものづくりとは何か、顧客満足度を全うするサービスとは何かを日本流に考えると同時に、ASEANの人々の心の中に、しっかりと受け入れられる価値をいかに作り出すことができるかがこれからの大きなテーマになるに違いありません。
ASEAN-NAGOYA CLUBは、この難解なテーマを、ASEANからの留学生の皆さんと真剣に議論しながら、模索していきたいと考えています。真のパートナーシップとは何か。経済関係だけではなく本当のパートナーシップとは何か。このテーマを追求していきたいと思います。